警備員の道警備員教育内容 > 警備員の守秘義務

警備員の守秘義務

 警備員が派遣される警備先は、業種も多種多様。そこで知り得た情報を利用してえられる利益。与える損失は様々です。そこで、万が一の情報漏洩に備えた警備員の守秘義務と対策を紹介します。

<知り得る情報>
・個人情報に関する情報
 例)従業員名簿、役職者名簿、取引先名簿

・営業秘密
 商品開発に関する情報(開発状況を含む)、主要取引先に関する情報、提携先関する情報

・防犯上の秘密
 機密文章等の保管場所。入退出の暗証番号。各種設備の操作等。


<想定される損害事故>
・情報漏えいによる単純損害
 個人情報漏えい事故による損害。
 流出した内容(氏名・連絡先・住所等)と件数により損害(賠償)が発生します。

・単純損害以外の損害
 上場企業等においては、商品開発状況や発表情報を事前に漏洩することによる信用に関する損害
 恨み等による機器の破壊(正常動作の阻害)行為による損害
 退職後等の元警備員による窃盗等の犯罪行為

・警備会社の信用損害
 契約先と警備会社においての信用を失うことにより、警備契約の解約。損害に対する賠償。
 内容によっては行政指導(処罰)等の損害を被ることになります。

<警備員の守秘義務に対する対策>
 警備という、安全・安心産業である。志を高く。恥じない警備員となれ。
 警備業法に掲げる資質の向上に関する教育は大切です。
 しかし、守秘義務を維持運用するためには、具体的にどういった対策が有効かは別問題です。
 実際に守秘義務の維持には、法律上の責任を知り事前の準備と、事件発生時に根拠を理解した会社の対応が重要です。


<法律上の根拠>
・警備員の誠実勤務義務
①労働基準法第2条 (労働条件の決定)
 労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。
同法2項
 労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。

・警備員の守秘義務
②不正競争防止法
第2条
 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
同条7項
 営業秘密を保有する事業者(以下「保有者」という。)からその営業秘密を示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為。

 上記は、警備員に限らず全ての労働者に適用される、法律上の責任です。
 事件発生の際には、その損害に対して賠償を求める(受ける)ことが出来ます。

<具体的な対策>
①労働基準法と民法415条・709条・715条による
対  象:在籍者(在籍している警備員)
適用条件:就業規則・雇用契約書による明示等。
内  容:就業規則もとづく懲戒処分による減給。
      実際の損害に対する費用の全部又は一部弁償。

②不正競争防止法
対  象:退職者(退職した警備員)
適用条件:就業規則又は、誓約書等に文章による明示。
       漏洩した情報が営業秘密として、管理されていること。など。
内  容:不正競争防止法に基づき損害賠償請求を行うことができます。

<この他>
 警備業をとわず、1人の勤務員が行う守秘義務違反が、会社全体に多大な影響をあたえる場合があります。
 日頃からの教育実施による予防にあわせ、会社側の管理者も法制度を熟知して事前の対策と事案発生時の対応手順を策定しておく必要があります。
 従業員(警備員)に対して、誓約書の提出や法解釈の説明は状況により必要です。
 しかし、教育者は教育する場面において法律を立てに脅すような教育だけは行わないで下さい。
 守秘義務違反は、個人の責任はもとより、会社としての責任も大きいデリケートな問題であることを忘れてはいけません。(と、とある警備員指導教育責任者は考えてます。)
個人情報保護に関する必要知識 へ

ページトップに戻る