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東京オリンピック警備業の動き

 2020年に開催予定であった東京オリンピック・パラリンピックでは、当初五輪組織委員会は警察官21,000人。民間の警備員14,000人。ボランティア9,000人などによる総勢58,500人による過去最大規模の警備体制を予定するほか、最新の防犯機器を導入するなど、当初より警備におけるビックイベントとして予定されました。
 2021年に無事閉幕した東京オリンピック・パラリンピックでの警備に関する概要です。

東京五輪の開催にかかる民間警備員に期待された役割
 警備員が雑踏警備で警察官を補佐する予定。公共交通機関や競技会場への観客誘導、選手村の見回り活動などを受け持つ。
 当初、民間警備員1日最大で14,000人という規模が予定され、人手不足に対する大きな懸念が発生しました。これを補うため、最新の防犯機器の導入。警察庁との連携により警備の具体的な方法を指導し新規採用等で補充された経験の浅い警備員の育成することとなりました。
 2021年6月24日、大会組織委員会は1日最大で1万8100人。大会期間中とその前後に確保した警備員は延べ60万1200人を確保したと公表しました。
 その後、無観客となったことで競技会場での観客向けの手荷物検査等や交通誘導が削減され、1日最大で約14,000となりました。
 パラリンピックを含めた大会期間中の延べ警備員は約53万5000人と見込まれました。


警備会社以外の防犯等の技術提供
ゴールドパートナーのNECを中心に開発、提供を予定
・4Kカメラを使った最新型システムの導入
・生体認証、行動検知・解析
・ドローンなどによるハイテク防犯技術 など


「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会警備共同企業体」(以下、警備JV)
 設  立:2018年4月3日
 共同代表:セコム株式会社・綜合警備保障株式会社
 理事会社:12社
 企業体の参加規模目標:参加企業100社、動員警備員14,000人を目指す。
 公式ホームページ(外部リンク):
 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会警備共同企業体
 https://www.keibijv.jp/(リンク切れ。警備終了により公式サイトは閉鎖されたかも知れません。)

東京2020大会警備で行われた概要
 東京オリンピック・パラリンピックでは、日本全国から553社の民間警備会社が警備JVに参画し、延べ約535,000人の警備員が大会準備から警備に従事。オールジャパン体制で警備が行われました。
 大規模人員の確保において、当初より他国での民間警備会社による人員調達の失敗による警備員不足を教訓に、準備よりJV(共同企業体)による人員確保がすすめられました。
 また、大会警備ではICT(情報通信技術)が活用され、「顔認証システム」による関係者の認証。監視カメラ等による「統合映像監視システム」など最新技術が活用され、警備の負担軽減と効率化が図られました。
 警備期間中、大会運営に影響するような大きな事案はなく、官民挙げて「オールジャパン」体制で無事終了されたとしています。
 また、海外メディア関係者においても日本の警備員対して賞賛された。と、されています。

 一方で警備員に対する暴行事件。従事した警備員と見られる男性の死亡案件等も発生。
 また、新型コロナ感染症による1年延期。更に大会直前まで観客動員について定まらず、無観客となったことで入場等に関する警備配置に変更等が直前までなされる中で警備が行われました。

・数値で見る警備に関する概要
警察官数 約60,000人
警備JV参画民間警備会社 553社
大会警備延べ警備員数 約535,000人
顔認証システム 330ヶ所
 同、本人確認の認証回数 延べ 400万回
競技会場の監視カメラ 約8,000台
  期間 警備対象先
オリンピック 7/21-8/8 約350箇所
パラリンピック 8/24-9/5 約160箇所
1/5-9/30 約390箇所
・導入された手法、使用機器
・ウェアブルカメラ
 一部警備員に頭部に装着し、現場の映像や音声を警備本部とリアルタイムで共有した。
・eラーニングを活用した研修
 大人数に高品質かつ同品質の教育が行われた。

オリンピックに関する警備業の動き
2021年 8月18日 東京都江東区有明3丁目の東京ビックサイト近くの東京湾にて、東京パラリンピック輸送担当の警備員(40代)と見られる男性が海で浮かんで見つかり死亡が確認された。
2021年 8月12日 東京パラリンピック、ジョージアの柔道男子100キロ級代表選手より警備員に飛び掛かり、首を絞める等の暴行を加え、ろっ骨を折るなど全治1か月の重傷。 
2021年 7月8日 1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)での無観客開催が決定。
2021年 6月 大会組織委員会は、1日あたり最大1万8100人。
大会期間中とその前後に確保した警備員は延べ60万1200人に上ると公表。但し感染状況に応じて体制を見直す
2020年10月 「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会警備共同企業体」は、警備会社の追加募集を開始
2020年 6月 政府及び大会組織委員会は、観客数の削減や開催方式などの規模を縮小した簡素化などの検討
2020年 3月 新型コロナウイルス感染症により開催延期(1年程度)が決定。
延期されたオリンピック競技大会2021年7月23日から8月8日。パラリンピック競技大会2021年8月24日から9月5日。
2018年 4月 警察庁
 警備員の人手不足解消にむけ、ロボット技術やICT(情報通信技術)等の活用を促す規制緩和を検討
2018年 4月 オフィシャルパートナー セコム・アルソック
「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会警備共同企業体」を設立
2018年 3月 大会組織委員会 「顔認証」システム導入指針を公表
 不正入場防止を目的に、選手・大会関係者が競技会場に入る際に「顔認証」システムを導入する方針を公表
2018年 3月 山梨県警
東京オリンピック・パラリンピック警備対策室」を警備2課に設置
山梨県は聖火リレー、事前合宿、自転車ロードレースの開催地となる見込み。
2018年 2月
2018年 3月
韓国・平昌オリンピック、パラリンピック
・セコム株式会社、綜合警備保障株式会社の社長等を視察
2017年 6月 公益財団法人 日工組社会安全研究財団
 2012年ロンドンオリンピック開催地イギリス、FIFAワールドカップの開催経験があり、日本と法制と親和性が高いドイツ、他フランス、アメリカの警備業を調査研究。
「外国の警備業に関する調査研究報告書」を刊行
2016年 9月 リオデジャネイロオリンピック
・セコム株式会社、綜合警備保障株式会社の社長等が視察
2015年11月 NECとパナソニック
 監視カメラを活用した個人特定の顔認証システムを極秘共同開発。警備に関する生体認証技術の飛躍的な向上が期待される。
2015年11月 綜合警備保障(ALSOK)
 「ザ・コーポレートゲームズ 東京 2015 アジア パシフィック」による実証実験。スマートフォンによるIPトランシーバーアプリを利用したボランティアスタッフとの連携。
2015年10月 東京2020オフィシャルパートナー契約締結
・セコム株式会社
・綜合警備保障株式会社
<契約カテゴリー>
セキュリティサービス&プランニング
 1964年 日本警備保障(現在のセコム株式会社)
 東京オリンピック選手村の警備を担当し、警備業が広く世間に認知される大きなきっかけとなる。

 
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